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Pet Club

cat kabu

吾輩はいつでも此所へ 出て浩然の気を養ふのが例である

吾輩は竊かに其大胆なる度胸に驚かざるを得なかつた。 彼は純粋の黒猫である。僅かに 午を過ぎたる太陽は透明なる光線を彼の皮膚の上に抛げかけて、 きらきらする柔毛 にこげの間より眼に見えぬ炎でも燃え出づる様に思はれた。

彼は猫中の大王とも云ふべき程の偉大なる体格を有して居る 吾輩の倍は慥にある。 吾輩は嘆賞の念と、好奇の心に前後を忘れて彼の前に佇立して余念もなく眺めて居ると、静かなる小春の風が、 杉垣の上から出 たる梧桐の枝を軽く誘つてばらばらと二三枚の葉が枯菊の茂みに落ちた。

大王はくわつと其真丸の眼を開いた。今でも記憶して居る。 其眼は 人間の珍重する琥珀といふものよりも遥かに美しく輝いて居た。 彼は 身動きもしない。双眸の奥から射る如き光を吾輩の矮小なる額の上にあつめて、御めへは一体何だと云つた。 大王にしては少々言葉が卑しいと思つたが何しろ其声の底に犬をも挫しぐべき力が籠つて居るので吾輩は少な からず恐れを抱いた。

「吾輩は猫である」より

いたずら子猫も真面目な親猫になる

困ったことに、たとえ一度でも猫をいじめようものなら、猫は以降、貴方に対しては威厳のあるよそよそしさで接することだろう。 貴方は決して猫の全幅の信頼を得ることはできない。

猫は自分の尊厳に対して鋭敏な感覚を持っている。決して猫を笑い者にしてはいけない。 猫はそのことをいつまでも覚えているからだ。 猫と人間の新たな関係を成功に導く鍵は・・・?